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シェークスピアのシャイロック [仕事]

 シェークスピアの「ベニスの商人」で登場する債権者シャイロックは消費貸借契約の担保として、債務者の血肉を請求する。債務者の血肉1ポンドをもらうというものである。現代の民法では公序良俗に反し無効となるだろう。シャイロックも裁判官に事実上、無効を言い渡される。シャイロックの要求は残酷だ。さて現代人は進歩してシャイロックほど残酷ではないのだろうか。私はむしろ現代のほうが17世紀よりも残酷にみえる。
 
 例えば生命保険。自殺しても遺族に支払われるものだから、債務に苦しむ経営者の自殺が生じる。経営者に限らず個人でも住宅ローンを組む条件に生命保険に加入しなければならないケースがある。経営者が失敗したら死なねばならないのはおかしいし、個人であっても住宅ローンを組むときに生命保険を掛ける感覚はおかしい。経営や住宅よりもなによりも人間の生命が大事なのではないのだろうか。この世に受けた生を生き切ることが、金銭よりも重要である。

 現代人はシャイロックが残酷と批判できるだろうか。金融業者が血肉どころか生命を飲み込んでいいはずがない。現代はシェークピアの時代と変わっていない。

 大企業は社員に団体生命保険を掛ける。社員が死んだら数千万~1億数千万円の保険金を受け取る。こうした制度は戦前にできたものらしいが、残酷ではないだろうか。会社は社員が過労死すればするほど営業外利益になるのである。経営陣は経営が苦しければ部下たる社員が過労死するように無意識で願うのではないだろうか。

 シャイロックは悪魔の象徴のようなものだ。しかし現代にも悪魔がいる。悪魔と取引して生命を引き換えに、見かけは豊かな、そして空虚な生活を送ってはならない。

 たとえ質素でも生命や健康が真に重要なことである。

 

 
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