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損益計算と図書出版 [仕事・職場を考える]

 役員が会議の席上、出版部長を激しく批判していた。初刷2,000部の一般図書を出版しようとしているが、営業利益が出ないと予測されるのになぜ出版するのか、これまで2,000部も売れたことはなく、滞留在庫になるという主張であった。これまで出版するかどうかは役員や部長の間で勝手に決めていたので、こうして平社員の前で対立を露わにするのは損なはずである。

 代表取締役は既に出版する腹だが、役員を説得できなかったから"ほぅ~ら、俺以外のみんなも出版をしたいと言っているよ"と社員を巻き込んで、役員を説得したいということらしい。代表取締役の頭の構造は多数決の原理、トップの責任希釈の論理なのである。みんなそうだと言っていると言えばそれは真実になるらしい。幼児が両親に「みんな持っているのに私だけ持っていない」とおもちゃをねだる幼稚な話に似ていてる。はなはだ耳障りである。

 会社の交際費を使って飲ませたのかもしれないな…と思ってしまった。役員の鋭い指摘がひと通り終わると、代表取締役は「細かいことがいろいろある」と言い、「俺は出したい」「みんなは?」と言い、結局、あっさりと出版が決まった。まあ何だか、子ども会のようである。

 出版部長が記した損益計算を読むと、たとえ2,000部が売れたとしても利益が出ないだろうと予想できた。会社は実態として雑誌社であって出版社ではなく、一般図書を出す力はない。これまでようやく利益が出たのはどうやら数冊のようである。倉庫には評価額3,000万円以上の図書の滞留在庫がある。10年前、20年前に発行の図書があり、新刊であっても実態は古本で、倉庫も湿度管理など全くされておらず、図書が古びて見える。今後も売れないであろう。

 一般図書で売れるのはどうやら700部前後で、とても初刷を売り切る力がない。しかも出版界では一般に1,000~1,500部とされる初刷数なのに、会社は初刷を何と、3,000~7,000部にしている。常識外れなのだが、誰も指摘しない。だからいつも大部分を裁断ということを繰り返している。資源の無駄遣いである。

 奇妙なのはこうしたことが年に1~2回繰り返され、結果として損失を出しているはずなのにその損失はどこで補っているかということである。金額としては200万円未満なので、黒字部門で補っているということなのだろうか。それにしても気前のいい話と言えるのかもしれない。

 ここでの700部や、大部分を裁断していることを繰り返している事実は代表取締役らは当然把握しているのだが、会議ではそうした指摘は出なかった。まあ見たくないものは見ないというわけである。
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